資源を生かした住まい  (テーマ別リフォーム事例)

田井中の家

第23回 住宅リフォーム推進協議会会長賞 2006年

持家一戸建 大阪府八尾市

この家のリフォームの大きな特長は、時間をかけてじっくりとリ フォームしたことと、見事なデザインの照明の2点である。施主の要 望を的確に把握し、かつ適正な費用で実現するには時間が必要であ る。一見、さして苦労もなく出来ているように見えるのは、破綻のな いデザインと納め方にこだわったこと、そしてそれを実現できる施工 者がいたことによる。たとえば、古民家に新たなデザイン要素を持 ち込むためには、床レベルや軒先の線(地回り)をどこに揃えるかと いう基本的なことと葛藤せざるを得ない。現地調査に1年半かかる など一般的なリフォームでは考えにくい慎重さであるが、これをじっ と待った施主もさすがである。

構造在来木造
築後年数70年
総工事費4,300万円  (該当部分工事費 3,440万円)
総工事床面積181m²  (該当工事面積 181m²)
居住者構成 15歳以上65歳未満: 2人     65歳以上: 1人

特に配慮した住宅性能 伝統的木軸住宅の良さ・空間特性を活し、適切な自然光の採り入れや照明計画との融合目指した。

リフォームの動機

3世帯家族であった頃に付加した間仕切りを、子供達の独立を契機に取り払い、住み始めた当時の風合いの中で家全体を気持ち良く過ごしていきたいという要望がクライアントよりありました。

設計・施工の工夫

もともとは住宅兼ミシン工場(2F部分)であった築70年の木造家屋を40年前に購入されたのですが、室内は薄暗く各部屋をどのように快適な環境にできるかがリフォームの主要課題となりました。本計画では、住宅の中心に位置する玄関ホール上部にガラス瓦を設置し、屋根からの光が襖やガラスを通して主要な居室へと導かれるような工夫をおこなっています。また、既存階段の手摺りを兼ねた木製のルーバーにより、自然光を拡散させ柔らかな雰囲気を室内にもたらせると共に、夜間時にも隣接した照明光を空間全体に放射させるような試みをしています。新築に相当する費用をかけてでもこの家を残したいというクライアントの愛着感は、リフォームによって御子息にも及び、将来引き継いで住み続けて行く予定になっています。

設計者:小林 広英  (京都大学)/田村 利夫  (AZU設計工房)
施工者:(株)岡本工務店  (担当 堀 真弘)

リフォーム前:平面図 リフォーム後:平面図
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