趣味や嗜好を中心に考えて  (テーマ別リフォーム事例)

豊能町の家

第24回 (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞 2007年

持家一戸建 大阪府豊能郡豊能町

この作品は、都市でも過疎地でもない、半地方とでも呼ぶべき地 域において、団塊の世代の、一つの豊かな生活が具現化したものと 言える。設計者は施主と友人であり、同世代である。信頼感に基づ いて同時代感覚が幸福に結晶し、「高齢社会における日本の住まい」 と呼べそうな原形空間のひとつに昇華した、といったらほめ過ぎかも しれないが、今後、このような在り方は確実に増えて行くのではなか ろうか。リフォームがそんな暮らしを生む原動力になっていれば素直 に喜びたい。

構造在来木造
築後年数約200年
総工事費1,300万円  (該当部分工事費 1,300万円)
総工事床面積66.33m²  (該当工事面積 66.33m²)
居住者構成 15歳以上65歳未満: 2人
ペット: 小型犬1匹

特に配慮した住宅性能 省エネ:薪ストーブや直焚用の浴槽を導入。家族の集まるスペースを南側に配置し、家事動線を整理。

リフォームの動機

大阪北摂に位置する、周囲を杉に囲まれた集落で、代々続いてきた暮らし方は変えずに、もう少し明るく、人を招きやすくしたいとの要望でリフォームの計画が始まった。

設計・施工の工夫

施主は50代のご夫婦。立派な茅葺き屋根部分は残し、下屋部分のみ手を加えて、奥にあったダイニングを景色のよい場所に移動した。少しでも奥まで光を取り入れようと設けたトップライトからは、思いがけず老桜の枝ぶりが楽しめてよいプレゼントになった。

リフォーム後も薪をくべてお風呂を沸かしたいとのことで直焚き用の浴槽と焚き口も設けた。新興住宅地では問題になりがちな防犯もここでは笑い話、どこからでも誰でも、千客万来の創りになっている。リフォーム後に法事をされたとき、親族の皆さんがとても喜んでくださったとのこと、今までは隠れていた黒光りした立派な梁を現わしたのが効果を生んだようだ。ススだらけの梁を皆で全身真っ黒になりながら掃除したのも良い思い出である。

設計者:広渡建築設計事務所  (担当 広瀬 孝一郎)
施工者:(株)中野工務店  (担当 中野 雄一)

リフォーム前:平面図 リフォーム後:平面図
ページの先頭へ