ヒント7 - 外装等の制限

住宅の屋根や外壁に使う仕上げ材や、それらに設けられる窓、扉などの開口部にも制限があることを知っていますか。

火災延焼の被害を最少限に抑えるため、その地域の土地利用や建物の密集度などを考慮して、防火地域や準防火地域を設けています。この地域に指定されたところでは、周囲で発生した火事の延焼を防ぐために屋根、外壁、窓など外部に面した外装を、燃えにくい材料で仕上げるよう、法律で定めています。

外装等の制限

事例

親子二世帯で暮らすために、築20年の木造2階建て住宅に増改築工事を施しました。
増改築工事をするには確認申請が必要なので、用途地域や防火地域の指定などの都市計画に変更があるかどうかを調べてみました。すると20年前に比べて、住宅が密集してきたため準防火地域に指定されていました。
増築をするには、建物全体を現行の準防火地域の規定にあわせた仕様にする必要があり、工事は増築部分だけでなく既存部分にもおよびました。屋根は、もともと屋根の不燃化区域(法22条区域)だったので変更はありませんが、外壁・軒裏・開口部の「延焼のおそれのある部分」は、防火規定が加わったので、増改築とあわせて既存部分も改修しました。「延焼のおそれのある部分」は、既存部分、増築部分ともに、外壁は防火認定を受けたサイディング張りとし、開口部は網入りガラスを入れた防火仕様のアルミサッシにしました。軒裏もすべてやり直し、防火構造にしました。

【ポイント】
防火地域等の指定は、変更されている場合があるため、増改築工事の際は役所の都市計画課や建築指導課で確認しましょう。また、増築の場合は既存部分にも現時点の規定が適用されるので、これを考慮して工事の計画を立ててください。

事例

解説

防火地域・準防火地域・屋根の不燃化区域(法22条区域)

【防火地域】
駅前の商店街などのように、大きな商業施設などが建ち並び、人通りや交通量が多くて、ちょっとした災害でも大惨事につながりかねない地域や、災害時に緊急車両が通る幹線道路沿いの地域などが指定を受ける。防災上の規制がもっとも厳しい地域。地域内の建物は耐火建築物※にすることが原則である。

※耐火建築物
火災が発生した時、鎮火するまでの間、周囲に延焼せず、建物が倒壊してしまうほどの変形や損傷などが起きないような建築物。火災後も修繕をして再使用が可能。鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの構造で、外部に面する開口部の「延焼のおそれがある部分」には、遮炎性能をもつ防火設備を設置する。

【準防火地域】
防火地域の周辺で、住宅などの建物が密集し、火災のときの危険度が高い地域。防火地域よりは規制がゆるく、延べ面積が500m2以下で、かつ、地階を除く階数が3以下の建築物は木造で建てることができるが、屋根や外壁および軒裏で「延焼のおそれのある部分」を防火構造※にする必要がある。ただし木造3階建ての場合は、2階建てや平屋の場合よりも規制が厳しい。

※防火構造
通常の火災で、周辺の建築物に延焼しないような性能をもつ構造。

【屋根の不燃化区域(法22条区域)】
屋根や外壁などの防火上の規制を受ける区域で、準防火地域の周辺に指定されることが多く、ここでは防火地域や準防火地域と同様の屋根構造とすることが定められている。外壁の「延焼のおそれのある部分」は、防火構造より若干規制のゆるやかな準防火性能の壁とする。

屋根の不燃化区域
木造建築物の防火措置
防火地域では木造の住宅は建てられないが、準防火地域では建てることができる。ただし、周辺でおきた火災の延焼拡大を防ぐための防火上の規定が適用される。以下に、木造平屋建て、2階建ての建築物の場合の、「延焼のおそれのある部分」にあたる屋根、外壁・軒裏、外壁の開口部の規定を紹介する。
3階建ての場合は、さらに厳しい規定が政令で定められている。
木造建築物の防火措置

【屋根】
周辺の火災で発生した火の粉によって、屋根が燃え上がったり、燃えぬけて内部へ延焼するなどの被害拡大を防ぐために、瓦や金属板などの不燃材料で仕上げる。

屋根

【外壁・軒裏】
準防火地域の木造建築物の外壁と軒裏は、直接火炎にさらされても30分間は内部の柱などが燃焼温度以上に上がらないようにするため、外壁の仕上げとしてはモルタルやタイルなどがある。

外壁・軒裏

【開口部(ドア・窓)の防火設備】
防火地域、準防火地域内の建築物では、窓や出入口、換気口などの開口部から、火災が燃え広がることを防ぐため、外部に面した開口部で、かつ延焼のおそれがある部分には、スチールサッシに網入りガラスなど、準遮炎性能をもつ防火戸やドレンチャーなどの防火設備を設けて、火災を有効に遮らなくてはならない。ただし、隣地境界線に開口部を遮るコンクリート製の壁を設けた場合は、開口部からの延焼を防ぐとみなされる。
また、住宅防火戸仕様の雨戸ユニットや窓シャッターユニットと併用する場合はサッシ部分を防火設備にする必要はない。

開口部(ドア・窓)の防火設備
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