子供の成長に合わせて  (テーマ別リフォーム事例)

白と桐

第22回 (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター理事長賞  2005年

持家共同建 東京都品川区

通常、設計者の自邸には、設計上の意欲的な試行や冒険が含まれて、 汎用性に欠ける場合も見られやすいが、本作品にはそのような気を衒 ったところはほとんどない。管理組合との対応や来るべき大規模修繕 への常識的な目配りもある。設計者は、住宅のリフォームは初めてと のことであるが、慎重に取り組んだ分、小さな子供がいる家族の、健 康に配慮したマンション住戸として、大変示唆に富む作品になったよ うである。基本的な住宅性能の確保と意匠性とを両立させ、総合的に バランス良く解決しようとしているこの作品には、サステナビリティへ の肩の力の抜けたスタンスが感じられる。

構造鉄筋コンクリート造
築後年数40年
該当部分工事費860万円
該当工事面積57m²
居住者構成 大人: 2人     子供: 1人

特に配慮した住宅性能 住む人の健康(空気質環境性能)

リフォームの動機

築40年のマンション、断熱もなく、ここ10年住まい手が他所で生活していたため傷みがひどかった。57m2という狭さ。細分化された間取りも夫婦+1歳の新しい生活には合わない。全面改修へ。

設計・施工の工夫

全体を大きく2つにゾーニング。部屋の繋がりを開口部の連続と、額縁による切り取りによって創り出す。開口部の連続性を高めることにより、光は奥まで差し込み、風は吹き抜けていく。さらにそれぞれのゾーンを異質な空間として併置し、額縁によって切り取ることで実際の寸法以上の奥行感を生む。

  • 引戸の多用。壁と一体化する開き戸。開け放しで1ルーム化。
  • 2つのゾーニング=桐の空間+白い空間。寛ぎの場は全面「桐」に、活動を目的とした場の背景は白塗装。桐の断熱性、柔らかさ、手触り感の良さは触感も含めて空間の気持ちよさに寄与する。照明もそれぞれに合せて、ライティングダクト+電球系、蛍光灯スリム管。
  • 断熱が全くなかったため、外壁、上部スラブ面に吹付断熱。
  • 下階への音に留意して防振シートを全面に敷設。
  • 桐材は中国産とすることでコストを抑えつつ、直接問屋へ調達に行き、材選定することで一定の品質を確保。
  • 内部は給排水から電気まで設備はすべて更新した。将来想定される大規模改修に対しては、新規接続口を洗面に集約することで工事を簡易化する。

設計者:石川 恭温
施工者:渡辺建設(株)  (担当 渡辺 眞一郎)

リフォーム前:平面図 リフォーム後:平面図
ページの先頭へ