ヒント5 - 居室の条件
「居室」という用語を知っていますか?
屋内空間のうち、人が長い時間続けて使う部屋、例えば居間や寝室などを、建築基準法では「居室」と呼びます。
そして、衛生的で居心地の良い居住環境を保つために、採光や換気のための窓の大きさや、天井の高さ、床の高さなどの「居室の条件」が定められています。
※「居室」以外の場所の条件についてはここでは取り上げません。
事例
高齢となった母親と同居するためにリフォームしました。
リビングと連続した和室を母親の部屋にして、洗面所や浴室も、ゆったりしたスペースにしました。また、従来よりLDKが狭くならないように、リビングの南側を増築をしました。
【ポイント】
部屋の広さやつながり方が変わるリフォームの場合は、適正な採光や換気が得られるか、窓の面積を再計算する必要があります。
解説
- 「居室」とは
- 勉強をしたり、食事、団欒をしたり、休んだりするために継続的に使用する部屋のこと
居室になるものの例 | 居室にならないものの例 |
---|---|
居間、台所、食堂、書斎 寝室、応接間、茶の間 |
玄関、廊下、便所、階段室 洗面室、浴室、納戸、押入れ 倉庫、車庫 |
- 窓の大きさ
- 適切な採光や、換気を得るために、居室の床面積に対して一定の大きさの窓を設けることが定められている。
【採光】
居室には、自然光を取り入れる必要があり、最低限必要な「窓の大きさ」が法律で定められている。採光に有効なのは直接屋外に面した窓。通常、その居室に設けられている窓の合計面積が、床面積の7分の1以上必要。
ただし、同じ大きさの窓でも、設置する位置や、周辺の屋外環境によって光の入り方が違ってくるので、窓の大きさはこれらの条件をふまえて計算する。例えば、事例のように、居室と窓との間に広縁がある場合、採光に有効な面積は通常の7/10として計算する。
なお、障子や襖など、常に開放しておけるような間仕切りで仕切られた2室は、採光面積を計算する場合、 1室として考えてよいとされている。
【換気】
新鮮な空気を室内に取り入れるために、換気ができないといけない。
窓で換気をする場合は、直接外気に開放できる面積が居室の床面積の1/20以上必要。
- 天井高さ
- 室内の空気の量を確保するために、居室の天井高さは2.1メートル以上とするよう規定されている。
ただし、2.1メートルは最低基準であり、一般的には2.3〜2.4メートルにすることが多い。
これは健康で衛生的な環境を保つためである。
「天井の高さ」は、室の床から天井までの高さを言う。
- 床の高さ
- 最下階(通常は1階)の床が木造の場合、その階の居室の床は直下の地面から45cmより上とし、床下には換気口を設けなければならない。これは、床下の通風を確保することで、床・根太などの腐食を防ぎ、居室を衛生的に保つため。
ただし、床下がコンクリートで覆われているなど、湿気が防止されている場合は、制限がありません。